【著者】
ものづくり太郎
【出版日】
2024/4/1
【評価・評価数】
評価4.2 評価数56
【内容】
日本の製造業が世界に後れを取る現状と、その背景にある構造的課題、そして再起の可能性を多角的に分析した一冊です。特にEVや半導体など成長分野における国際競争力の低下をデータで示し、技術、制度、組織文化の遅れを浮き彫りにしています。
【口コミ】
ためになる情報がたくさんある/とても勉強になる一冊/これからのものづくりを考察するのにオススメ
【どんな人におすすめ?】
日本と海外の製造業の違いや現状を知りたい方/今後の製造業がどのようになるのかを知りたい方
Kindle unlimitedで無料で読めます。※初回30日間は無料です

1.全体構成について
- 第1章~第2章では、製造業の重要性と日本の国際的ポジションの低下をEVと半導体の視点から論じ、ASEAN諸国、特にタイでの中国企業の台頭を警鐘として描いています。
- 第3章~第4章では、CO2削減のライフサイクルアセスメント、デジタルツイン、ギガプレスといった先進技術がなぜ日本で根付かないかに焦点を当て、設計データの活用における二次元依存の非効率性が指摘されます。
- 第5章~第6章では、工作機械・金型産業の競争力の低下や、海外では当たり前となったオープンソース的な制御構築文化、AI・PLC活用の先進事例が紹介され、日本の“ためらい文化”を厳しく批判。
- 第7章~終章にかけては、デジタル業務の標準化の遅れ、部品や電力システムの非統一、そして国家の方向性不足に対する問題提起がなされ、最終的に「二次元データからの脱却」や「上流工程の変革」が復活の鍵として語られます。
2.所感
本書は、読み物としての面白さに加え、読者に強い危機感と再生へのヒントを与えてくれる極めて実務的な一冊です。日本の製造業は、これまで「現場力」「改善力」で世界をリードしてきたものの、デジタル化の波には乗り遅れてしまいました。その理由として「過去の成功体験」「変化を恐れる文化」「政府の支援不足」「メディアの偏向報道」などが指摘されており、まさに総力戦で臨むべき国家的課題であることが強調されます。
特に印象的だったのは「成功する人は方法を探し、失敗する人は理由を探す」という一節。この言葉は、製造業だけでなく、日本社会全体へのメッセージとして響きます。
本書は、製造業関係者にとっての現実の写し鏡であり、次世代にバトンを渡すための道標でもあります。変革は技術の話だけではなく、「意識と体質の変革」であると痛感させられました。
ものづくり太郎さんは今回の書籍以外にもYoutuberとして製造業における様々な有益情報を発信していますので、今回の内容を見て興味を持たれた方はぜひ動画も視聴してみてください。