
【要約】
こちらの記事は『美的集団を大躍進させたDX 2012年から続く長期戦略を解剖する』の要約です。
1. 美的集団の概要
- 1968年設立、家電事業を基盤とし、現在はスマートホーム、ロボティクス、オートメーションなど多角化。
- 2016年に東芝の白物家電部門を買収し、日本市場へ進出。
- 中国製造業のトップ企業の一つとして成長し、2024年には香港証券取引所でIPOを申請。
2. 美的集団のDXの進化(2012年~現在)
(1) DX1.0(2012-2015年):データと業務プロセスの統合
- 「632プロジェクト」(6つの基幹システム、3つの管理プラットフォーム、2つの技術プラットフォーム)により、業務の標準化とデータ統合を実施。
(2) DX2.0(2016-2017年):インテリジェント製造とC2M導入
- 「T+3モデル」により、需要に応じた生産方式を確立。
- ビッグデータ活用で生産効率を向上し、在庫を削減。
(3) DX3.0(2018年~):産業用インターネットの活用
- 「Midea M.IoT 1.0」を導入し、IoT技術による生産の自動化・最適化。
- デジタルプラットフォームを外部企業にも提供し、新たな収益源を確保。
(4) DX4.0(2020年~):データ主導の経営
- 「Midea M.IoT 2.0」で、データ中心の業務運営を実現。
- 全業務の100%デジタル化と、意思決定の70%をデータに基づいて実行。
3. DXの成果
- 2023年度売上7兆4740億円(2012年比264%増)、経常利益6740億円(453%増)。
- オンライン販売の割合が50%増加し、営業利益率も向上。
- 研究開発投資を5年間で1.2兆円投入し、技術革新を推進。
4. 日本製造業への示唆
(1) DX戦略をシンプルに言語化し、業務に浸透させる
- 「632プロジェクト」「One美的、One体系、One標準」のような分かりやすい標語で社員の意識統一。
- 日本企業も現場にDXの意図を明確に伝え、ゴールを定量化する必要がある。
(2) 経営者の強い意思と迅速な意思決定
- CEOの方洪波氏が全事業部門と対話し、2年以内のDX達成を厳命。
- 日本企業も経営層が現場と対話し、スピーディーな意思決定が求められる。
(3) 部分最適ではなく全体最適を重視
- 美的は業務・データ・システムを統合し、エンドツーエンドの最適化を実施。
- 日本企業は縦割り組織を超え、デジタル基盤の統合を進めるべき。
(4) 若手人材の登用と起業家精神の育成
- 取締役の平均年齢は45歳未満、新卒採用の50%が修士・博士号取得者。
- 「Up or Out」の競争的制度で優秀な人材を育成。
- 日本企業も若手に裁量を与え、責任ある仕事を任せる仕組み作りが重要。
5. まとめ
美的集団はデータ活用と全社的なDX推進により、急成長を遂げた。
日本企業は迅速な意思決定、全体最適化、若手の登用を進めることで、DXの成功確率を高めることができる。
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【所感】
・「現場にDXの意図を明確に伝え、ゴールを定量化する」「部分最適ではなく全体最適を重視」など、製造業DXを進める上で参考になる部分が多かった。
・「日本企業も若手に裁量を与え、責任ある仕事を任せる仕組み作りが重要」そういった製造業は日本にまだまだ少ないと思うので、今後に期待したい。
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