
【要約】
こちらの記事は『中小製造業のDXの現実――「使いこなし」にこだわったエースが成功した理由』の要約です。
■ 企業概要:エース(東京都大田区)
- 創業:1974年、本社は城南島
- 事業内容:金属加工、組立、検査治具・専用機械部品製作、試作
- 強み:
- 高度な加工設備とCAD/CAMの活用
- 300社以上の協力工場との連携(広域分業型モデル)
■ DXに踏み切った背景(課題)
- 営業対応の限界
- 人手不足で見積もり・進捗管理・納品対応が属人化し、受注機会を逃していた。
- 外注管理の煩雑化
- 多数の外注先との調整が電話やFAX中心で非効率。
- 図面の紙管理による非効率
- 保管スペースの逼迫と検索性の悪さが業務に支障。
- アナログ業務による生産性の限界
- 業務の可視化・効率化が急務。
■ デジタル化の経緯
- 2007年:社内サーバ・資料共有システム導入(IT系親戚のアドバイス)
- 2010年頃:
- 初代生産管理システム導入
- CAD/CAM導入(高度な加工支援)
- 2021年:
- 「I-OTA合同会社」参加 → 同業者との情報交換で課題を再認識
- 生産管理システムをTECHS-BKに刷新(補助金活用)
- その他施策:
- Webサイト刷新・SEO強化で営業機会増加
- 財務・経理に「財務応援」導入
- 図面管理を完全デジタル化
- 社内連絡はLINE+対面のハイブリッド型に
■ DX投資額(おおよそ)
投資内容 | 金額(概算) |
---|---|
初代生産管理システム | 約300万円 |
TECHS-BK導入 | 約500万円 |
Web/SEO対策 | 約300万円 |
CAD/CAM導入 | 約80万円 |
月額運用費 | 約7万円 |
IT導入補助金適用額 | 約700万円 |
■ 成果と成功要因
◎ 主な成果
- 図面検索の即応 → 信頼性・営業力向上
- 自社Webからの案件獲得が増加
- 属人化解消・業務の可視化に成功
◎ 成功の4要因
- トップ主導
- 社長が旗振り役となり、現場の納得と実行を促進
- 業務ルールの明文化
- システムに合わせた運用ルール整備で現場混乱を回避
- 段階的導入と準備
- 約10カ月の準備期間で丁寧に研修・移行を実施
- 目的の明確化
- KPIを設定し、社内に「なぜやるのか」を伝えた
■ 今後の展望
- 図面管理のクラウド化:BCP対策としても有効
- 部分的な自動化(例:協働ロボット導入検討)
- IoT活用は慎重に判断(多品種少量生産の特性上)
📝 総括
エースの事例は、単なるツール導入ではなく、業務改革と現場浸透にこだわった「使いこなし」のDX成功モデルです。中小製造業にとって「属人化の解消」「情報の可視化」「人手不足対応」など、共通課題に対するリアルな参考になります。
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【所感】
・DX成功の要因としては「社長が旗振り役となり、現場の納得と実行を促進」「KPIを設定し、社内になぜやるのかを伝えた」この2点が大きいと感じた。特に会社の経営層が課題意識を持っているか重要だと思う。