
【要約】
こちらの記事は『EV、SDV時代にふさわしいビジネスモデルとは? 中国メーカーの躍進を生んだ「水平分業型」自動車生産の実態』の要約です。
1. 従来の垂直統合モデルからの転換
従来の自動車産業は、メーカーが企画・設計・試験・製造・販売までを一貫して担う垂直統合型モデルが主流だった。しかし、EV(BEV)の普及により部品点数が大幅に減少し、コンポーネント単位での外部委託が可能になったことで、この常識が崩れつつある。
2. 中国メーカーが採用する「水平分業型」の実態
NIO、Xpeng、理想汽車などの中国新興メーカーは
- 商品企画・デザイン・販売に特化
- 詳細設計、試作、試験、製造は外部企業に委託
という水平分業型ビジネスモデルを採用している。試験はCATARC(中国自動車技術研究センター)などの公的・専門機関に依存し、自社で大規模な設計・試験・製造部門を持たない点が特徴である。
3. 水平分業のメリット
- 小資本でも自動車メーカー参入が可能
- 得意分野に集中でき、開発スピードが速い
- BEVの構造的シンプルさと相性が良い
これにより、中国では短期間で多数のEVメーカーが誕生・成長した。
4. 水平分業の課題
- 詳細設計が汎用的になりやすく、独自技術を反映しにくい
- 試験・評価を外部に依存し、自社に技術知見が蓄積しにくい
- eアクスルなど高度なチューニングが必要な部品では、汎用品では性能限界がある
そのため、成長段階では企画・デザインで差別化し、事業拡大後に設計・試験機能を内製化する流れが多い。
5. SDV時代①:OTA(Over The Air)対応
SDVではソフトウエア更新(OTA)が不可欠となる。
これにはECUの大規模統合(例:テスラは4つに集約)が必要で、
- 機能定義の再整理
- ECU仕様の統合
- ソフトウエアエンジニアの確保
が求められる。結果として垂直統合と水平分業が混在する開発形態が現実的となる。
6. SDV時代②:E2E(End to End)自動運転
E2Eは、認知・判断・操作をAIで一括制御する新しい自動運転手法。
実現には、
- 大量の走行データ収集
- AIによる大規模分析
- モデル化
- 評価・検証
という高速ループが不可欠である。
テスラは巨額投資で内製化を進める一方、多くのメーカーはMomentaなどの専門企業と連携する水平分業型を選択している。
7. 今後の展望
- SDV時代は単一のビジネスモデルでは対応困難
- 車種や領域ごとに、垂直統合と水平分業を使い分ける時代へ
- 自動車メーカーには「技術力」だけでなく、多数の外部企業を統合・評価・管理する能力が強く求められる
- E2E搭載車の事故時には、メーカー自身の評価・審査能力が責任として問われる
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