
【要約】
こちらの記事は『AGCが挑んだ“ガラス依存”からの脱却 島村前社長が全社変革で再興を図った10年先を見据えた「両利きの経営」とは?』の要約です。
1. 背景:ガラスへの過度な依存による危機
- AGC(旧旭硝子)は長年ガラス製品で世界トップクラスだった。
- しかし2000年代、中国メーカーなどの台頭によって価格競争が激化。
- 液晶用ガラスなど収益源だった事業も利益低下。
- 世界のガラスメーカーの多くが撤退するほど業界は苦境に。
2. 島村琢哉氏(2015年社長就任)の危機感
- 「ガラス事業の優位性への依存が限界に来た」と判断。
- 新市場向けの新素材開発を”第二の柱”に据える戦略へ転換。
- リスクを恐れず変革に挑む姿勢を全社に強く求めた。
3. 社員意識改革:トップダウンではなく“心に火をつける”
- 「否定語(いや・でも・しかし)を使わない」など前向きな文化を推進。
- アイデンティティを「ガラス会社」から「素材技術の会社」へ再定義。
- 1年で50拠点を回り、直接ビジョンを共有。
4. 組織改革:10年先を見据えた“両利きの経営”
- CTO(平井氏)を任命し、長期技術戦略を明確化。
- CFO(宮地氏)には新技術投資の裏付けを担当させた。
- 技術組織を社長直轄にし、既存技術依存からの脱却を促進。
- 事業開拓室を設置し、Market(市場理解) → Incubate(育成) → Transfer(事業移転)の「MITロードマップ」を構築。
5. 新市場創出の成果
- 自動車用ガラスアンテナ
- 集積回路向けガラス部品
など、ガラス技術を生かした新領域製品が次々に誕生。
6. 経営陣の意識改革:ボトムアップ重視
- 本部長層を巻き込み、年功序列的な発言構造を打破。
- 役職に関係なく質問・議論を促す“RJ型”の対話を推進。
- イノベーションを全社的に推し進める風土づくりに注力。
まとめ
島村前社長が進めたAGCの改革は「探索と深化の両立(両利きの経営)」 を軸に企業文化・組織構造・アイデンティティを根本から変える試みだった。
長年のガラス技術の強みを残しつつ新素材分野へ積極的に挑むことでAGCは“ガラスメーカー”から“素材のイノベーション企業”へと再生した。
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